歯周病でお悩みではありませんか?
一生ご自身の歯で健康に過ごしていただくために…
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(音声あり 2分43秒)
動画提供:サンスター
当クリニックでは、歯周病に特化した歯周病外来を設けており初期の歯周病から重度の歯周病まで幅広くさまざまなケースに対応しています。
近年の研究では、歯周病は全身の疾患とも深く関わっており、口腔の健康だけではなく全身の健康についても影響を及ぼすたいへん重要な疾患であることが証明されています。
現在、歯周病の症状でお困りの方、また、かかりつけの歯科医院に長い間通っているが歯周病の症状がなかなか改善されないなど、歯周病でお困りの方はぜひ一度神戸歯周病歯科クリニックの歯周病外来へご連絡ください。
歯周病とは歯の周りにある組織(歯肉、セメント質、歯根膜、歯槽骨)に起こる病気の総称で、歯ぐきが赤く腫れる、歯ぐきから血が出る、歯ぐきから膿が出る、歯ぐきが下がる、歯がグラグラと動く、咬むと痛む等の症状があります。
日本人の成人の約8割が歯周病とのデータもあり国民病といっても過言ではありません。これまで歯周病は遺伝や加齢によるもので一度かかってしまうと治らない不治の病といわれてきましが、近年その原因や治療法が明らかとなり正しい知識と治療により症状の改善と予防が可能となってきました。
歯周組織の中で唯一目に見える部分で、健康な歯肉は淡いピンク色をしています。歯の周りにある角化した付着歯肉・遊離歯肉と角化していない歯槽粘膜に分けられます。一般的に歯周ポケットと呼ばれるのは歯の表面に接する遊離歯肉の溝のことで健康な場合約2mm程度の深さがあります。
歯茎の下にある歯を支えるための組織のことで上あごは海綿骨と呼ばれるスポンジ状の構造で、下あごは皮質骨と呼ばれる板状の硬い構造をしています。
歯と骨をつなぐための組織でコラーゲンからできた膜状の繊維で構成されています。咬む力に対してのクッションの役割や病原菌が骨の中に入ってこないように防御する機能があります。
歯根の表面を覆う組織で歯根膜と結合しています。エナメル質との境で一番薄く根の先に向かうにつれ厚さを増していきます。また、セメント質は年齢が高くなることによっても厚さを増していきます。
歯肉に限局した炎症で歯周組織にダメージを伴わないもの
歯肉に発症した炎症が深部歯周組織まで及んだもの
咬み合わせの力により生じる深部歯周組織(セメント質,歯根膜,歯槽骨)の傷害で、健全な歯周組織に過度な力が加わり生じる一次性咬合性外傷と、歯周炎によって組織が破壊され、歯を支持する骨に傷害が起こる二次性咬合性外傷に分けられる。
歯周病を引き起こす原因として
(1) 歯周病菌による炎症
(2) 異常な力による骨の破壊
が考えられています。
まず、歯周病菌についてですが、お口の中には常在菌としておよそ300〜500種類の細菌が存在していますが、その中でも歯周病菌の種類や数が多くなると歯周病を発症する危険性が増してきます。ちなみに歯垢1gの中には1億個の細菌が存在するといわれています。
しかし、歯周病細菌がお口の中にいるから必ず発症するというものではなく、遺伝敵な要因(歯ぐきの性状、歯やあごの大きさ)、全身の健康状態、局所的な要因(歯科治療でのつめもの、かぶせものの精度、歯磨きの上手い下手、喫煙の有無等)によって発症のリスクは変わってきます。すべての均衡が保たれているときは健康な状態が続きますが、一旦均衡が崩れると歯周病を発症し、どこかで原因を取り除かないとどんどん歯周病は重症化してしまいます。
次に、力による骨の破壊ですが、人が一日のうち食事、会話などで上下の歯を接触させている時間は20分程度といわれています。
また、咬む力は食事の際でも10〜20Kg。この程度の時間や力がかかったとしても通常骨が壊れることはありません。
しかし、自分では意識することのできない睡眠時の食いしばりや歯ぎしりでは体重と同じくらいの力が15分程度続くといわれ、咬み合わせが悪い場合も本来よりも強い力が特定の歯にかかる場合があり、どちらの場合も異常な力が骨の破壊を進行させてしまいます。
歯周ポケットに細菌などの感染が起こると身体の防御機構が働いて免疫細胞である白血球やリンパ球等が全身より送られてきます。通常の歯ぐきの中にある血管の太さでは必要な免疫細胞を十分に送り込めないため血管は一時的に太くなり血流が増えます。健康なときは薄いピンクに見える歯ぐきもいざ歯周病で炎症が起こると普段より太く薄くなり(ゴムホースに大量水を流そうとするとゴムが伸びて薄くなるイメージ)血管の壁越しに見える血液の色により歯ぐきは赤く見えてしまいます。
健康なときは歯ぐきに歯ブラシがあたっても簡単には出血は起こりません。しかし、歯周病によりそこに炎症があると歯磨き程度の刺激でも出血してしまいます。これは前述の免疫細胞を供給する為に拡張し薄くなってしまった血管の壁がブラシ等の機械的な刺激により破れてしまうことにより起こります。
歯周病により炎症が起こると歯ぐきの中の血管から周囲の組織に白血球等の免疫細胞がどんどん送り込まれます。その結果として浮腫(腫れ)が起こります。
歯周病により炎症が長期化すると細菌と戦っていた免疫細胞である白血球や周囲の組織の一部がが死んでしまいます。これが蓄積したものが膿であり歯周病がある程度進行した状態から見られるようになります。
歯周病が中程度の状態になるとお口の中に歯周病独特の臭いがするようになります。これは歯周ポケットの中の菌、特に嫌気性菌(酸素を嫌う菌)が代謝の過程で硫化水素やメチルメルカプタンを産生するためです。
歯周病が進行して中程度を過ぎてくると歯周組織が破壊されます。そのダメージが骨にまで達すると歯の支持が失われ咬み合わせの力に耐えられなくなり指で動かすとぐらぐらするようになります。
歯周病も末期に近づくと歯の揺れも大きくなり、今までいた位置を維持することが難しくなります。本来の咬み合わせではないため普通に咬むだけでも異常な方向に力がかかり痛みを感じるようになります。
当クリニックで行う歯周病の検査は大きく分けて3つあります。
骨の状態を調べる検査で、一般的にはパノラマレントゲンだけの場合が多いようですが当クリニックでは詳細な情報を得るために全顎撮影14枚法によるレントゲン検査で診断の精度を高めています。
歯の周りの溝の深さを計測することでどの場所の歯周組織に異常があるかを判定します。3 mm以下が臨床的には正常値で、深いポケットほど嫌気的な環境となり歯肉縁下プラークおよび歯周病原細菌がより多く存在しやすくなります。ポケット値が大きな場所は歯周組織破壊が進行する可能性がたいへん高くなっています。
出血の有無により炎症の存在する場所の判定を行います。炎症がポケット内壁にある場合、周囲の組織が破壊されているためポケット測定により容易に毛細血管が損傷して出血します。出血がある場所は炎症が存在することを意味し、歯周炎の進行する確率が高く、逆に出血がないときは炎症がない、あるいは病状が安定していることを示します。
歯の揺れの大きさにより歯周組織の支持の度合いを判定します。歯の動揺は歯根膜の拡大と歯槽骨の高さにより影響を受け、咬合性外傷や急性炎症の際には特に動揺が強くなります。
歯周ポケット内に存在する歯周病細菌をDNA鑑定する検査で細菌の種類と菌数を測定します。歯周病原細菌の存在は歯周炎の発症・進行におけるリスクを増加させることが実証されていて、歯周病細菌検査は歯周病の治療における薬剤の選択基準、歯周外科治療の必要性、治癒の判定を決定する際の重要項目の一つになっています。
歯周病細菌検査実施件数 | |
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2013年 | 181件 |
2014年 | 149件 |
2015年 | 213件 |
2016年 | 267件 |
歯周病はそのほとんどが細菌の感染によって起こる病気で歯周ポケットに存在する目に見えないミクロン単位の菌が原因となっています。しかし、今までの歯周病の治療は歯垢や歯石など歯の表面に付着する病的な物質を「器具」を用いて取り除くというもので技術的にも限界があり原因物質を取り残した場合は再発を防ぐことはできませんでした。
歯周内科は歯周病の原因となる菌を検査で判別し、その菌に対して有効な抗菌薬を用いることで症状の改善と再発を防止します。
歯周病の進行の度合いにもよりますが骨などへのダメージが少ない初期の場合、内科治療のみで終わることもあります。
抗菌療法による歯周内科治療件数 | |
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2013年 | 65件 |
2014年 | 67件 |
2015年 | 89件 |
2016年 | 116件 |
健康な方のお口の中は歯周ポケットが浅く、出血もなく、レントゲン像では歯の周りの骨が平坦で密度が高い病気になりにくい構造をしています。
しかし、歯周病が進行してしまった方では歯周組織が破壊され歯周ポケットは深くなり少しの刺激でも出血し、歯を支持する骨もがたがたに溶けてしまっています。
このような環境が続くと毎日の歯磨きでも磨き残しが多くなり症状がさらに進み最悪の場合は歯を失うことになります。
歯周外科はこのように歯周病により破壊されてしまった歯周組織を再発しにくい環境へ戻すことを目的とした治療で、切除療法と再生療法という2つの方法に分けられます。
破壊された病的な歯肉や骨の形を修正することで歯周ポケットをなくし、再発しにくい健康な歯周環境に整える手術です。
破壊された骨と歯根膜、セメント質をできる限り元あった健康な状態に戻すために行う手術で、当クリニックではエムドゲインゲルを使用した再生療法を行っております。
エムドゲインゲル使用による再生療法手術件数 | |
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2013年 | 79件 |
2014年 | 44件 |
2015年 | 43件 |
2016年 | 48件 |
エムドゲインゲルは、スウェーデンのビオラ社で開発された新しい歯周組織再生誘導材料で、主成分(エナメルマトリックスデリバティブ)は歯が生えてくる時に重要な働きをするたん白質の一種です。高い安全性に基づき製品化されたエムドゲインゲルは幼若ブタの歯胚から抽出し精製したもので全世界で使用されています。
歯周外科手術の際、エムドゲインゲルを使用することで歯の発生過程に似た環境を再現します。エムドゲインゲルは初めて歯が生えたときと同じような強固な付着機能をもつ歯周組織の再生を促す薬剤です 。
作用機序
歯周病により歯がぐらぐらになってしまうと周囲の歯に負担がかかり、長期間そのままにしておいた場合、咬み合わせにも悪い影響がでてきてしまいます。
歯周病の治療を行うことにより元の健康な状態に戻せたり、隣の歯と固定することにより動揺を防げる場合は問題はないのですが、不幸にして歯を失った場合は周囲の歯に更なる負担を強いることになります。
インプラントによる治療はただ単に咬み合わせを回復させるだけでなく、周りの歯の負担を軽減させることにもなります。
歯周病の分類の中にも咬み合わせの力により歯周組織が破壊される咬合性外傷というものがあり、いかに負担を軽減できるかが残された歯の寿命に大きくかかわってきます。
特に歯列の後ろ側にある大臼歯はあごの関節(支点)から近く一番負荷のかかる歯となっています。このような歯が抜けてしまた場合、前側にある歯は構造上、根が細く咬み合わせの力に耐えるようにはできていません。本来負担すべき力以上の負担がかかると骨が壊れて残っている歯がぐらぐらになったり、歯が傾いて咬み合わせが狂ったりしてしまいます。
歯周病治療の一環としてインプラント治療は非常に有益な治療といえます。
歯周病の治療が終了すると症状も改善され普段通りにお過ごしいただくことができます。しかし、その後の管理次第では再発するケースも少なくありません。
欧米では歯周病を“Silent Disease”(静かなる疾患)と呼んでおり、毎日ほんの少しずつ悪くなる病状を自覚することが難しいということを表現しています。
そこで重要になってくるが治療後の“メインテナンス”です。
歯周病のメインテナンスとは定期的に行われるプロフェッショナルによるお口の中のチェックとクリーニングのことで、当クリニックでは拡大鏡を用いた歯と歯周組織の視診、歯周ポケット検査、歯石除去などのクリーニング、歯磨きの状態の評価と指導を行わせていただいております。
メインテナンスの重要性について下記のような研究結果も報告されています。
改善 | 変化なし | わずかに悪化 | 悪化 | |
メインテナンスあり | 17% | 72% | 10% | 1% |
メインテナンスなし | 1% | 10% | 34% | 55% |
P. Axelsson and J. Lindhe. J Clin Periodontol 1981:8:281-294. より改変
この研究では歯周外科治療の後、メインテナンスできていない患者様の90%近くの方に症状の悪化がみられたという結果が示されており、いかに治療後のアフターケアが重要であるかをご理解いただけると思います。
また、以下のグラフにあるようにお口の中の細菌数はクリーニング後、約3ヶ月(12週)で増加傾向にあります。
歯周ポケット内の細菌の75%を占める嫌気性グラム陰性菌群(歯周病菌)は、スケーリングとルートプレーニング後4週は20%以下に減少していますが、12~16週後にはもとの菌数レベルに戻る傾向が見られることがわかっています。(慢性歯周炎患者へのPMTC後の除菌効果 Slots,J, 1979)
したがって、このような科学的な根拠から、神戸歯周病歯科クリニックでは3ヶ月ごとの定期的なメインテナンスをお勧めしております。
これまで歯周病はお口の中だけの病気と考えられてきました。しかし、近年になって全身の病気との関連性が解明されてきました。ここでは歯周病と関連性の高い病気について紹介していきます。
歯周ポケット内の歯周病細菌が血管内に入ると血液中のマクロファージが活性化され血管壁に付着し、そこでタンパク質を貪食して脂質を多く含んだ泡沫細胞になります。その後その細胞が変性して細胞外脂質を作り血管の内側にたまることで血液の流れが悪くなり血管が閉塞、心臓の筋肉に血液が供給されなくなって心筋梗塞を起こします。
また、頸動脈に作られた血管内壁の付着物がはがれて脳動脈を詰まらせることで脳梗塞が引き起こされます。
動画提供:サンスター
歯周病菌が出血を伴う腫れた歯ぐきから容易に侵入します。これらの菌は内毒素を持っており脂肪組織や肝臓からのTNF-αの生産を高めます。
TNF-αは血液中の糖分の取り込みを抑える働きがあるため血糖値を上昇させてしまいます。
動画提供:サンスター
歯周病は、慢性炎症性疾患で多くの炎症性物質の存在が確認できます。これらの炎症性物質は分娩に関わる物質と共通するものが多く、妊婦は分娩に至る前にこれらの物質が上昇することにより分娩のメカニズムが働き早産を引き起こすと考えられています。また、血管内に侵入した歯周病菌は胎盤を通過し直接胎児に感染し胎児の発育不全を引き起こしているとも考えられています。
(出典:P&G ORAL AND WHOLE BODY HEALTH)
たばこには3大有害物質(ニコチン、タール、一酸化炭素)をはじめ約200種類もの有害物質が含まれています。
ある統計データによると歯周病にかかるリスクは1日10本以上喫煙すると5.4倍に、10年以上吸っていると4.3倍になり重症化しやすいといわれています。
しかし、近年の研究では禁煙することで歯周病のかかりやすさも4割ほど減るという報告もありますので身体のためにもたばこを吸わない健康的な生活を送っていただければと考えております。